海底要塞研究所

第二段 バターカップの打撃戦


「ねえ、スーパーパワーは買えないって言ったの誰だっけ?」
「あんたって、痛い目に遭わないとダメなタイプみたい」
挑発するプリンセス、呼応するバターカップ。
「いぃやぁぁー!」
バターカップは気合と共に駆け込み、打撃戦を仕掛けるが悉く捌かれ、プリンセスの右ストレートで吹っ飛ばされ、着地を待たずの背後からの追撃パン
チでダウンさせられる。


解説
 ガールズ中、一番の武闘派であるバターカップが打撃戦で打ち負けるという珍事である。
これは何を意味するのか? この時点でいえる事は、プリンセスのスピードがガールズを凌駕しているという事である。そのレベルは・・

・プリンセスはバターカップのパンチは手ではらいガード。
 キックを混ぜ始めると体捌きだけでかわす事を始め余裕を見せつける。

 ここで普通の考え方をすると「パンチの間合いでは体捌きだけでかわせず、キックの間合いなら手ではらうという防御補助をせずともよい」という事がい
える。おおよその場合、手よりも足のほうが長い。つまりパンチよりキックの方が相対的に間合いが遠い。間合いが遠くなれば動きが見切りやすくなるとい
う理論からである。

 ところが、である。ガールズのプロポーションを思い浮かべてほしい。手が届く距離、足が届く距離がさほど変わらないのである。パンチとキックの攻撃間
合いが同等であるといえる。つまり、プリンセスのこの時の防御手段の移行に間合いの差を考慮してはいけないという事であり、パンチ攻撃でもその気に
なれば体捌きだけでかわせたという事になる。
(誰しも足より手の方がうまく使えるが、日頃から格闘戦を旨としているバターカップの話なので、パンチ・キックは実質同速度と仮定しています)

 右ストレートから着地を待たずの背後追撃パンチも特製パワースーツのスピードを強烈に物語っている。


心理的側面から
 プリンセスの目的はガールズを見返すという事にシフトしている。
対峙した時の挑発と、その気になれば手を使わずともよい事を後に知らしめすという行為は、プリンセスの戦闘経験不足と銀行強盗退治に失敗した
という事実から戦略上の意図ではないと推測できるが、図らずともプリンセスの気迫が呼び込んだ精神的優位である。
もちろん、特製パワースーツの「威力」があったればこそである。

 バターカップにとってみれば屈辱だが、特製パワースーツを着たプリンセスの戦力を過少評価していなければ、まだ闘い様があるかも知れない。
負け惜しみに聞こえるかも知れないが、ダウン=敗北ではないからである。


補足
 バターカップの連撃が一撃もヒットしていない事に着目したい。
 プリンセスが幾ら早く動けるとはいえ、お互い手足が届く距離でバターカップの無数の連撃をかわし切るのは不可能である。敵攻撃手段を見極め、対
処を決めるのは人間のプリンセスだからである。私はあのゴーグルが怪しいと思っている。拳筋の弾道予測システムが組み込まれているのではないかと
思う。あくまで想像であるが。

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