海底要塞研究所

第五段 ガールズの協力攻撃


 ブロッサムとプリンセスの打撃戦の均衡が崩れる。ブロッサムのパンチとキックが一方的にヒット。時を同じくしてバターカップとバブルスが回復。ガールズ
は協力攻撃に移行する。
ブロッサムのパワースーツのジョイント部への三段攻撃。左膝蹴りで左股関節、右パンチで左肘関節、左ローキックを左右両膝裏へ叩き込む。
ブロッサムはバターカップに向け、プリンセスをパンチで吹っ飛ばす。バターカップはプリンセスを左フックで高速回転させ右回し蹴りでバブルスのもとへ飛す。
バブルスは右の後方回転蹴り(サマーソルトっぽい)でプリンセスを上空に打ち上げる。ブロッサムが氷の息でプリンセスのパワースーツを急冷して破壊。
決着。


解説
 バターカップの打撃が通用しなかったプリンセスに対し、ブロッサムの打撃が一方的にヒットした理由は、プリンセスの攻撃パターンが出尽くしたとみるの
が妥当でしょう。この時のプリンセスに疲労の色は伺えないからです。
 なぜ、攻撃パターンを見切られると相手の攻撃を受けやすくなるのかを簡単に。攻撃というもの、中でも打撃攻撃は特にコンビネーションブロー(この
場合、蹴りを含む)の終点でガードされる事は痛い。次の変化と攻撃があるかも知れないという予測が相手の反撃を制する部分がある。明らかにコンビ
ネーションの終点である事が相手に知られると思い切った反撃が容易になり、またそれが反撃にかかる時間を短縮する事につながる。攻撃パターンが
決まったものであるならパターンの終点でガードせずに場所移動だけでのディフェンスと次の反撃の為のポジション取りも可能であり、さらにまずいのである。
 話をもっと簡単にしてみよう。ようは相手の攻撃の隙に自分の攻撃をすればよいという単純な理屈である。例えば相手の武器が6連発の拳銃だと
分かっていると仮定して、6発発射後に攻撃を仕掛けるのと同じである。私のいうガールズとプリンセスの戦闘経験の差をこれに当てはめるなら、あた
かもオートマチック銃で弾倉外に弾を一発仕込んだり、弾の再装填を隠して行ったりするという工夫が皆無であるという事である。プリンセスの攻撃の
単純さが弱点であり、そこをブロッサムが突いたのである。

ガールズの協力攻撃について
 ブロッサムのパワースーツジョイント部への三段攻撃は、パワースーツの構造的に弱い部分への攻撃であり、鎧攻略の基本中の基本である。
三段攻撃の第一撃、左膝蹴りで左股関節を蹴っている。一見不自然な行動だが次の推理で解決できる。ホイと左膝をだしてジョイント部を攻撃する
ならプリンセスの右股関節を狙うのが自然と見えるが、ブロッサムがあえて体をひねり左股関節を打撃したのは、インファイトにおける間合いの調整を瞬
時に見事に行ったと私はみる。最高の蹴りの為には最適な(標的との)距離の確保が必要である。例えば、ゲームセンターのパンチングマシン。これに
自分が最高の打撃を当てる為には最適な距離というものがある。たった2〜3cm前に詰めるだけで非常に力が入らない。ブロッサムがプリンセスの右股
関節を狙うというのは、これに等しかったのだろう。間合い調整の為に後退すれば時間を消費する。ブロッサムは攻撃目標を左股関節にする事で間合
いを相対的に離し(適切にし)このタイムロスをゼロにしているのであろう。こう考えれば、スピードのあるプリンセスに対して最短時間で最高の蹴り込みを
行う為のよい判断といえる。
 間髪入れずの第二撃、それら二段ヒット後の側面からのロー。見事としか言いようが無い。プリンセスを真上から見下ろす視点で考えて頂きたい。第
一撃・左股関節、第二撃・左肘関節とも、プリンセスを反時計回りに回転させるエネルギーである。そして、プリンセスの右側面からのローキック。空中
戦ならではの側面取りである。

 ついでバターカップが左フックでプリンセスを高速回転させ半・無防備状態にする。
パワースーツの上からの攻撃ではなく、着込んでいる人間そのものに対する攻撃である。これも裏基本である。

 そして、バブルスが右の後方回転蹴りでプリンセスを上空に打ち上げる。人間、目が回った時に頼りにする物、それは大地である。これは、たまらない。

 止めはブロッサムの氷の息。大概、高温になっているパワースーツを急冷し急激な温度変化で金属を高速度で収縮。この激変について行けず、つい
にパワースーツが崩壊する。

 この協力攻撃の時、ブロッサムがすべてやっても良さそうなものであるが、段取りに時間をかければ、パワースーツがそれだけ常温に近づく。協力攻撃
を行う事で時間短縮ができるのである。それに、プリンセスにとってみれば、相手・状況が目まぐるしく変化する事で対応がより難しくなるのである。

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